子育て支援カウンセリングルーム まなざし

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心のなかに遊びをもって!!

心のなかに遊びをもって!!

2021/06/08

ある3年生の男の子を持つお母さんが、

「うちの子は、あまり困らせない良い子なんですよね。 私が働いていて、疲れているから困らせないでくれているんですよね。 本当に良い子で! 家の手伝いもしてくれるし、優しい子なんです。 それなのに、今日のクラス面談で『学校では乱暴で手をこまねいている』と担任の先生に言われちゃって。 2年生までは、本当に素直で良い子だと褒められていたのに。。。。 きっと担任の先生と合わないんですね。 」

と、お迎えに来た際にちょっと愚痴って帰られました。

実は、クラブでも2年生まではどちらかというと素直で手のかからない男の子だったのです。

ところが3年生になって児童クラブに帰ってくると、イライラすることが多くなり、支援員等に対しても反抗的な態度をとったりすることがよくありました。 ギャングエイジの年齢に入って反抗期に入ったこともあるのでしょうが、まさに『こっち見て! 』の現れでした。

私は、それでもまだ早めに出てくれて良かったなと思っていました。彼のお母さんは、とてもきっちりしている方でお仕事をされていても、子育てに手を抜かない感じの雰囲気を持っているお母さんでした。

いつも、お迎えに来ると「お母さんお仕事で疲れているから早くしてね。 買いものもして帰らないといけないからね。 」と声かけし、男の子は「はい」と言って慌てて支度をしてバタバタとお母さんの後を追いかけていきます。 お母さんの前では、私達支援員等に向ける甘えや自己中心的な言動は全くありません。

それでも家では、お手伝いをしたり、お母さんに言われたことは一つ返事でやります。「本当に良い子で助かるわ」とお母さんに褒められることが、彼にとっては一番なんです。 前にも述べた通り、このくらいの子どもは、とにかくお母さんの期待に添おうと必死なんですよね。 でも、彼はいつもきっちりと細かいことまで指示してくるお母さんに対して少しずつストレスを感じ始めてきていました。

その逃げ場・受け入れてもらえる場・爆発できる場が児童クラブだったのかも知れません。

でも、本当に「こっちを見て欲しい」のは、お父さん・お母さんになんですよね。 学校では急激の変化に、きっとご家庭で何かあったのかと思われたのかもしれません。

3年生にもなると、学校は勉強・運動・成績と同じ学年(年齢)同士の集まりの中で競争心も出てきます。

子ども集団の中で思いやりの心や相手の気持ちを考える為の授業もあり、充分その大切さも頭では理解していると思います。

彼は心理学者エリクソンの言葉にある『見せかけの前進』をしていたのではないでしょうか。

親が「こうあって欲しい! 」と強烈なプレッシャーを子どもにかけていると親が描いた道をそのまま正しいと思い、褒めて欲しいと思い、その道を踏み外したら、親に愛してもらえないと子どもは感じています。

そして愛してもらえなければ(生きていけない)と思うから必死なのです。

子どもの受容できる範囲(キャパ)を越えて3年生になって周りが見えてきた時に、1から10までお母さんの言う通りには自分はできないんだと気づいてしまったのです。

それでも、お母さんの前では良い子でいなければと思い、子ども世界(家庭の外)で爆発してしまったのです。

次の日、お母さんと面談(カウンセリング)を行いました。

そして、どれほどお母さんが仕事に家事に子育てに、一生懸命頑張ってこられたかを素晴らしいことだとお話しました。

すると、お母さんは心のタガが外れたように泣き出してしまいました。 本当に頑張ってこられたんだと思います。

今まで誰も褒めてくれなかったと言うのです。 そうかもしれませんね。

ひとしきり泣いた後、「あの子にきっちりきっちりといちいち言い聞かせてやらせてきてしまったように思います。 きっと、あの子は私のこと嫌いなんでしょうね。 最近、あまり笑顔がないように感じるんです。 私自身余裕がなくて。どうしたらいいんでしょう。 今まで、素直で良い子だったから、これで良いんだと思ってやってきました 」と話してくれました。  

きっと、いろいろな事に今までもきっちりやらないと気が済まない性格だったんですね。

私も割とそんなタイプなんですよね。

子育てしていて子どもが小さい頃は、愛情たっぷりで優しく穏やかに声かけしていても、声かけしている内容が無意識に大人の指導下に置くような言葉を浴びせていると、大人にとって都合の良い子になってしまっていることが多々あります。

なんと言っても、子どもは親の期待に応えようと必死なんですからね。だって、お母さんが大好きですから。

その男の子のお母さんに「心の中にあそびを持って! 」というお話をしました。

「心の中のあそび」というのは、車の運転でいうハンドルのあそびと同じです。

もし、ハンドルにあそびがなかったら、ちょっと動かしただけでも左右に揺れて、もしかしたら対向車線へ突っ込んでしまったりするかもしれません。

子育てでも、 少しの間違いもないようにすると、緊張の連続で押し潰されてしまうかも知れません。

「お母さんも、子どもも『心の中にあそび(=ゆとり)を持って! 』多少のことは、『まあ~いっか~』と、声に出してみましょう!

これは、私の[子どもと優しく笑顔で向き合う為の魔法の言葉]です。

親子の心が、押し潰されてしまわないように、今からでも遅くはないです。 心の中にあそびを持って「まあ~いっか~」ですよ。 」とお話ししました。

その後、お母さんが子どもにあまり細かく言わないように気をつけて「まあ~いっか~」と声に出すようにしたところ、すごく気が楽になったと報告してくれました。 子どもも、反抗期的な所はまだ少しでていますが、お母さんの前でも支援員等の前でも変わらず自然な感じになりました。

高学年になると、反抗期も治まりたくましいリーダーとして下級生にも優しく、みんなを引っ張ってくれるようになりました。

お母さん、頑張りました!

今では、立派な社会人です。 年々、親の前ではとても良い子で外で爆発して他人に迷惑をかけたり荒れたりする子が増えてきているように感じます。

本当はその逆で親の前で甘えたり、言いたいことを言ったりして、外では子ども社会で頑張っている姿が、本来の子どものあるべき良い姿ではないかと思います。

何度も言いますが、親も子も息苦しくならない、そしてお互い素直に向き合える関係作りをしていくために、

是非 「心にあそび(ゆとり)を持って! 」 いきましょう。

子育ては、葛藤しながら、大人にとっても子どもにとっても人生の貴重な体験と学びであり、喜びをもたらしてくれるものだと信じています。

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